子どもも大人も。相手が話を聞かないのはコレが原因

工場勤務になって2年。
管理職の人に相談されました。

「中途採用で入ったAさんに、何度も根気強く話をしたのに、全然伝わらない。どうにかならないか?」

【Aさん】
45歳男性。
話が長くて、熱がこもると声が大きくなる。
経験豊富な技術職で、理屈立てて考えるのが得意な設計者。

管理職の方も、理屈が得意で相手の矛盾を的確に指摘しているから、上手くまとまりそうなものですが、なぜか上手くいかない。
そこで、「なぜ?」と聞かれたのです。

話を聞かないのは話す姿勢になっているから

テレビの公開討論を見ていると、「本当に偉い人の討論なの?」と思うほど、だれも人の話を聞いていません。
聞いているのは司会者だけで、他の人は自分の主張を話すスキを伺っています。
このとき、彼らの頭の中はこんな感じ。

「あ、〇〇という内容だ。自分の主張は×××だったな。こういう切り口で言えばいいか…。あとは、タイミングを見計らって…」

人間は2つのことを同時に考えられませんから、当然、相手の話は聞いていません。
だから、それを取り入れることなんて絶対できません。
こうして、討論は「今の自分の考えより良い案を見つける」のではなく、お互いに「相手をいかに納得させるか」に注力して平行線のまま終わります。

 

今回、工場で起きたことも同じです。
Aさんは一つの言葉を聞いてすぐに反応します。

「〇〇は、こうで、こうして、こうなって、こうなったから今・・・。」

管理職の人は、途中に問題点を見つけて話を遮ります。

「それについては、こうだ!」

しかし、Aさんの頭の中はまだセリフが残っています。
最後まで言わないと、ずっとそのセリフが頭に残っていて、新しいことが入ってきません。
結果、お互いに「自分の考えが伝わらなかった」と感じたまま話し合いが終わります。

これを解決するには、話す姿勢を聞く姿勢に変えなくてはなりません。
やり方は以下の通り。

①相手の話を聞いて相手が何を考えているか理解する
②相手が頭の中を整理できるように、すべて聞き出す
③相手のイメージしているところから、相手の理解スピードに合わせて、情報を提示

これが結構むずかしい。
慣れていないと、自分の話だけして完了した気になってしまう。
実際にやってみると、「話を聞く」にしても、「教える」にしても、技術が必要なんだと実感させられるはずです。

 

教育の場でも同じです。
子どもを叱るときに、相手の言い分を聞いてから叱るのと頭ごなしに叱るのでは効果が全然違います。
数学を教えるときも、相手の頭の中から一歩一歩説明すれば、ほとんどの子に伝わります。

でも、この技術がない指導者が多いから、子どもが素直に話を聞かなくなります。
「頭の中で考えが巡っている」のに、「新しいことを取り入れる」なんて同時にできる訳がないんです。

 

相手に伝えたいのであれば、まず相手の頭の中を理解して整理するところから始めましょう。

 

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