数学の文章題ができないのは親が丁寧に教えるから!!

中高生に勉強を教えていると、数学の文章題が全くできない子がいます。
そして、親に話を聞くと、決まってこう言います。

「うちの子は応用問題が苦手で…」

で、それを聞いた今までの先生方は何をしていたか。
ほとんどのケースで、文章題を大量に解かせています。
しかし、これでは一生、数学はできるようになりません。
その理由を、子どもの思考過程を見ながら解説し、
解決方法をお伝えします。

文章題を解くときの子どもの頭の中

はっきり言って、数学ができない子は何も考えていません。

いや、そんなことはない!!
頑張って考えている!!

親も子もそう言いますが、それでも理系の自分からしたら、何も考えていないに等しいです。
どういうことか?
例えば、こんな問題があったとします。

Aさんは13時に、家から16km先にある図書館へ向かいました。はじめは自転車に乗って時速15kmで進みましたが、途中にあるBさんの家で20分間休憩し、その後Bさんと一緒に時速4kmで歩いて図書館まで行ったところ、到着は15時30分でした。Aさんの家からBさんの家までは、何kmでしょう?

この問題を解くときに、数学のできる子はこう考えます。

「Aさんは家から16km先にある図書館へ」
とりあえず、数直線を使って情報を抜き出すか。
「時速15kmで進みましたが」
これも大事そうだから、図に表そう。
次の文は・・・。

|――――16km―――――――|
Aの家→→→→Bの家→→→図書館
⇒15km/時   ⇒4km/時
13:00→→→→20分間→→→→15:30

ん~、どうやってだそう?
よく分からないけど、とりあえず「AさんからBさんの家まで」の道のりを答えないといけないから、そこを”x”と置いてみよう。
そうすると・・・。
あ、「Bから図書館の道のり」は、”16-x”だ。
あとは、他の数字使ってなんとかできないかな~。
xを含んだ等式を作れれば、答えが出そうだけど。
とりあえず、時速に焦点を当ててみようかな。
時速が一緒になるように等式を作るには・・・。
あれ?上手くいかない。
なら時間に焦点を当ててみようかな。
Aから図書館までは2時間半かかっているなぁ。
時速15kmで走っていたのは・・・、あ、x÷15ででてくるぞ。
・・・・・。

これが数学のできる子の考え方です。
一方、数学のできない子はこう考えます。

あ、前に似た問題やったことあったなぁ…。
あれってどんな式たてたっけ?
確かxとyを使ったよな…。
あ、そうだ。
xとyの連立方程式だ!
一つは足し算だったから…。
x+y=
・・・、16って数字っぽいな。
「x+y=16」っと!!
横で勉強を見てくれてるお母さんの反応は…??
お!これで正解っぽい!
もう一つの式は…?
ん~、「x×15…。15÷x…。x÷15…。」
あ、お母さんが反応した!!
じゃあ、x÷15だ!!
じゃあ次は、y÷4っぽいな。
・・・・・・・・・・・。

これが、数学のできない子の“考える”です。
このようなやり方をしているから、文章題は一生できるようにならないのです。

親が丁寧に教えるほど、子どもは数学ができなくなる

上の例で気がついたかと思いますが、子どもが考えなくなったのは、親が丁寧に教えていたことが原因です。
親が子どもの勉強につきっきりになって、その解答に一喜一憂する。
すると、子どもは親を見て勉強をします。
やることの多い現代っ子は、労力を減らすため、親の反応で答えを確認します。
ひとつひとつ順序立てて考えたり、間違ったやり方を試したりすることはありません。
こうして子どもは、「数学は暗記」「数学の文章題は訳が分からない」「学校の授業は先生が答えを言うのを待っていればいい」と考えるようになり、高校に上がるころには授業についていけなくなります。

ちなみに、文章題のできない小学生に、「文章題のドリル」をさせても無駄です。
「文章題のドリル」は、完全に暗記型。
例題で掛け算がでてきたら、その下の問題はすべて掛け算。
論理的に考える必要はなく、数字と×の記号を組み合わせればできるようになっていますので、まったく意味がありません。

数学をできるようにするためには

数学をできるようにするためには、どうしたらいいか?

まず、教えるのをやめてください。
逆に、なんでその式になるのか聞いてください。
文章題のできない子は簡単な問題ですら説明できませんから、それを確認して「今までの教え方が間違っていたんだ」ということを認識してください。

次に、うんとレベルを落として小学生用の問題をやらせます。
オススメはコレ。
『算数と国語を同時に伸ばすパズル』

論理的思考と試行錯誤の力が同時に身につきます。
これを自力で解かせます。
解いている間、近くで見ていてはいけません。
親の反応で子どもが答えを推測してしまうからです。(親は料理や洗濯や読書でもしていてください)
答えが出たら、仮に間違っていたとしても「どうやって解いたの?」「なんでその答えになったの?」「ここはどういうこと?」と丁寧に聞いてあげてください。
正直、今まで「暗記したものを思い出す=考える」だった子どもにとって、この勉強方法はしんどいです。
ものすごく疲れます。
でも、それが数学的思考ですし、これができなければ一生できるようになりません。
優しく手を差し伸べたくなる気持ちは分かりますが、ぐっと堪えて一人で考えさせてください。

上の問題集を終えたら、中学レベルの文章題をはじめます。
こちらも、問題を解いたら、やり方を説明させてください。
親は正解でも不正解でも同じように反応して、「なんでそうなったの?」と質問してください。
最初は言葉に詰まると思うので、2~3回繰り返した後に手助けしてもいいですが、そのあともう一度、全部説明させてください。
できれば、あとでお父さんか誰かにもう一度説明させると良いでしょう。

大変ですがコレを繰り返すことで、徐々に数学的思考が身につき、そのあとようやく数学ができるようになってきます。
今まで“考える”ことを放棄していたので、できるようになるまで時間がかかります。
半年~1年はかかることを覚悟して取り組みましょう。

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