【メモ】高校生に「宗教とのつきあい方」をどうやって教えるか?

『日本人に宗教はいらない』より

p29
キリスト教徒にとって労働は「罰」
日本人はよく勤勉だといわれる。
海外からも、日本人は真面目で残業も厭わず働くように思われている。
しかし、私が来日した際の印象は少し違った。
建設現場などでは、作業員が10人いたとして、実際に汗をかいて働いているのは5~6人。
その他は、ゆったり働いているように見えた。
夜遅くまで現場をライトアップし、作業員がいつまでもいるが、やはり一所懸命働いているようには感じなかった。
ドイツ人なら死に物狂いで働いて残業などしない。
一刻も早く帰宅しようとする。

p40
日本人が無常を感じやすいのは、日本に四季があるからではないか。
(中略)
その特徴のひとつが湿気だ。
日本は他国と比べて非常に湿気が高く、それが日本人の宗教観にも影響を与えている。
梅雨の時期、日本では押入れをずっと閉めっぱなしにすると、押入れの中にすぐカビが生えてしまう。

p44
日本では自然は管理できないとしている。
自然には勝てないと思っている人が多い。
そもそも自然は想定外のことだらけだという思いがある。
反対に、欧米では「想定外」という概念はない。
すべてが想定内だ。
その想定の通りになるかどうかは別として、最初から想定外とは考えない。
キリスト教徒は人間が自然現象を予測し、対応しなければいけないとする。
旧約聖書には「人間は自然を支配して、管理しなさい」ということが書かれている。

p72
座禅は「ただ坐る」だけである。
しかし、その時間は何にも使われていない。
何のためにもならないからこそ、初めて自分の時間になるのだ。
(中略)
座禅は、自分で坐禅をしているうちは本当の座禅ではない。
自分のために坐禅があるのではなく、坐禅のために自分を投げ出さないといけない。
それは、「私が坐禅をしている」のではなく、「坐禅が坐禅をしている」「坐禅が私をしている」という感覚だ。

p123
「君は外国出身だから仕方ないかもしれないが、住職の覚悟が足りない。
住職の”職”という一字、それは職業という意味だ。
住職は、お寺という会社を経営しているのだ。
サービス産業といえば語弊があるかもしれないが、決して使命でやっているのではない。
求められていないものを提供しても、カスタマーは離れてしまう。
檀家はお得意様だから、需要と供給の法則をよくわきまえていなければならない」

p138
欧米では日本のように墓地を忌み嫌うような感じはない。
教会のそばには墓地があり、それを中心としてヨーロッパの村は形成されている。
そしてそこは、緑あふれる広大な場所だから若者もよく集う。
墓地がデートスポットの定番なのだ。


『池上彰の宗教が分かれば世界が見える』より

p38
独立宣言には「ALL MEN ARE CREATED EQUAL(人間達は平等に作られている)」という文章があり、作ったのは「CREATOR」だとされています。
創造者、すなわち神のことです。
また、一ドル紙幣を見れば「IN GOD WE TRUST」と書いてあります。
普通の英語の構文にすれば「WE TRUST IN GOD」ですが、それをひっくり返して、少し気取った言い方にしたものです。
「私たちは神を信じている」と、お札にわざわざ書いてあるのが、アメリカという国なのです。
(中略)
ですから、大統領は聖書に手を置いて誓い、お札には「私たちは神を信じる」と書いてあるのです。

p102
いわゆる一神教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教の場合は、そもそも唯一絶対の神が、この宇宙と世界を作り、人々をつくった。
そして、人々は死んだ後、この世の終わりが来るのを待つ。
やがて、この世の終わりが来たときには、神が一人一人に生前いかに神を信じ、良い行いをしたかによって、審判を下す。
よき行いをしていたものは天国で永遠の命を生き、そうでないものは地獄で苦しみを受ける。
これに対して仏教は、輪廻の中で生まれ変わっていくことは苦しみであるので、そういうことがない状態、それが解脱であるとして、輪廻の輪から外へ出て行く。
それがいわゆる涅槃に入るということですよね。

p182
山形
「悲しむ人々は幸いである」(『新約聖書』マタイ福音書)
これにはびっくりしました。
悲しみの家に住んでいることは不幸なことで、悲しみは心に秘めておくべきものだと思い込んでいたのですが、悲しみを知ることこそがむしろ人生の出発点なんだ、と知ったのです。
(中略)
池上
身近な人を亡くして打ちひしがれている人にとって、聖書の言葉は大きな救いになるのでしょうね。


『論語』より

p208
未だ生を知らず、いずくんぞ死を知らん。

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次
閉じる