座学で高校体育・授業案⑫ 運動しながら頭を使おう

最初に、先生の前職を紹介します。

先生は依然、モデリングマシンという機械の組立をやっていました。

モデリングマシンというのはこんな機械です。

毎回、初めての機械を組み立てていたので、考えながら作業しないといけませんでした。

例えば、配線。

ケーブルの取り回しをするために、事前に穴をあけておいたり、ケーブルの本数を確認して、穴を大きくしておいたり。

カバーをつけた状態で配線しないといけないところもあれば、カバーを外しておかないと配線できないところもありました。

考えて動いて、考えて動いての繰り返し。

そこそこ重さもあるので身体を使うし、頭も使います。

で、先生は、実は組立がそんなに得意ではありませんでした。

理由を考えてみたら、機械の組立が慣れてないだけでなく、考えながら動くという力をあんまり鍛えてなかったからみたいです。

よくよく考えてみると、今まで鍛えてきた力は、「集中して考えるだけ」と「できるだけ速く動くだけ」で、あまり同時にはつかってませんでした。

小中学・高校のときは、将棋や数学が得意でした。

集中して考えると、周りの音が聞こえなくなるほどでした。

バスケやテニスをやっていたので、体力もそこそこありました。

バスケのディフェンスで、いかに早く反応するかが大事なので、反射神経は鍛えていました。

いつでもヘルプに入れるように、周辺視野も磨いてました。

でも、バスケやテニスのときに、深く考えることはしていませんでした。

ちょっと大変だと思うけど、できたらみんなにも頭を使いながら運動をしてほしいです。

頭を使いながら運動するのがなぜいいのか。

脳について紹介しながら見ていこうと思います。

他の授業でもやっているように、脳にはニューロンというものがあります。

このニューロンはものすごくたくさんあり、これが他のニューロンとくっついて電気信号を送りあうことで、記憶したり考えたりすることができます。

ものごとを記憶するときは、最初に海馬に情報が入って、偏桃体が感情を添えて、強く記憶に残るかどうかがきまります。

だから、ハチに刺されると、痛いという不快な感情とともにハチは危険だと記憶され、ハチを強烈に記憶します。

脳は、場所によって働きが違います。

ここが嗅覚、ここが味覚、とだいたい位置が決まっています。

例えば前頭葉にはワーキングメモリーがあると言われています。

作業するときに一時的に記憶を保存するところです。

先生は、将棋や数学が得意でしたが、それはこの辺の能力をたくさん使っていたからだと思います。

一方、組立の仕事はこんな感じでした。

スピンドルを取り付けるときに、ネジ締めや新しくねじ穴をあける作業が必要だったりしました。

本来1.5d以上の深さが必要なのに、設計上、それ以下のことも多く、ねじ穴を潰さないように触覚が求められました。

スピンドルは20kgの重さだったので、取り付けるのにそこそこ力が要ります。

加えて、スピンドルの傾きも加工平面と水平になるように、ミクロン単位で調節しないといけないので、シムをどれだけ挟むべきか頭も使いました。

だから、スピンドル取り付けだけでも、様々な領域を使っていたことになります。

この動きがスムーズではなかったので、組立に苦戦していたわけです。

以上3つが脳の大まかな仕組みです。

脳のつながりをスムーズにしたらいいのは分かったけど、なんか大変そう。

そう思う人も多いと思いますが、実は、みんな自然とできてることもたくさんあります。

例えば、水を飲みたいとき。

全ての反応を言葉にすると、ものすごく複雑なことをやってるのが分かります。

で、重要なのは、これを最初にやるときはものすごく大変なんだけど、何度も同じことをすると、その流れがスムーズになるということ。

脳は1日の消費エネルギーの20%を使っているので、できるだけラクしたいと考えています。

だから、良く使う回路が、抵抗なく電気信号を送れるように強化されたり、経路が短縮されたりします。

ただ、ラクしようとしすぎて、新しい回路を作るのではなく、今までの回路で処理しようとすることもあります。

人の話を聞いて「あ~、それね!俺も似た経験したから同じことでしょ!」と。

でも、そればっかやってると、力がどんどん衰えてくる。

だから、頭を使うことは大事だし、できれば同時に運動もやってほしい!

で、頭を使いながら運動するって、めちゃ大事じゃん!!

と思っていたら、じつはすでにライフキネティックというものがありました。

ライフキネティックは、運動に脳トレを組み合わせたエクササイズをすることで、脳機能向上と神経の伝達機能の強化を促すものです。

ライフキネティックに関係する学問はいろいろあって、

・どうやって運動すると良いよ!とか
・身体の筋肉はどういった仕組みになってるよ!とか
・脳はどうやって働いてるよ!とか
・見て認識するとはどういくことだよ!とか。

ライフキネティックは、これらの学問を踏まえつつ、効果的に能力をアップさせるために、適切に脳トレと運動を組み合わせたエクササイズをするものです。

だからエクササイズはたくさんあり、今はYOUTUBEでいろんな動画も出ていますが、

それぞれに合ったプログラムを組むのは、かなり勉強もしなくてはいけないので、難しくもあります。

ちなみに、ライフキネティックの本の内容も一部紹介します。

ライフキネティックでは、知覚、認知、運動を同時に行います。

まずは、知覚について。

視覚とか聴覚といった、感じる力ですね。

視覚というと、視力を思い浮かべる人が多いと思います。

遠くのものをどれだけ見れるか。

普段、視力検査で行うのがこれですが、他にも上記のようなものがあります。

ここで、一つ練習してみましょう。

周辺視野と視線をジャンプさせる力です。

上の文を、区切りごと上下を順番に読んでみてください。

「とても 重要な 視覚能力 の 中 には、・・・」といった感じです。

続いて対象を見続ける能力。

先生はこれが苦手なので、前職で棚卸のとき部品を数えて記録したりするのに苦労しました。

上の絵から帽子をかぶっている人の人数を数えてください。

続いて、利き目のチェックです。

上の練習をやって、最終的にどちらの目で見てるか確認してください。

利き目ではない方があまり使えていないと、左右のパフォーマンスに差が出たり、物を正確に認識にしにくくなったりします。

音が鳴っているのがどのあたりか。

目をつぶって距離を答え、どれだけずれていたか確認する。

技能習得が楽しいと思えるか、苦しくてやりたくないか。

認知能力がアップするかどうかは、ここが大切。

頭を使って運動することが楽しくて習慣になると、能力がアップしやすい。

10年後。

これができている人は少ないから、できているだけで生活を豊かにする能力が手に入りやすくなります。

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