座学で高校体育・授業案⑪ ~スポーツと経済効果&ドーピング~

最初に一つ質問です。

スポーツを楽しむときに必要なものは何ですか?

実際に何かのスポーツをするときでもいいし、スポーツを見るときでも良いです。

楽しむときにはコレが必要だよね!というものを書き出してみてください。

スポーツをやるには道具が必要です。

バスケをやるなら、バスケットシューズとボール。

ゴール、ユニフォームなど。

加えて、一緒にやる仲間も必要だし、ケガのリスクに備えて保険も入っておきたいところです。

体育館に行くまでの交通手段も必要だし、上達のためには指導者も欲しいです。

バスケを見に行くなら、入場料が必要だし応援グッズもあるとより楽しめます。

どこかに泊まってついでに観光もするかもしれないし、帰りにお土産を買って帰ることもあると思います。

こんな感じで、スポーツにはいろいろなお金が関わっています。

ちなみに教科書ではこんな感じで紹介されています。

スポーツをすることで、スポーツ用品の消費が促されるし、スポーツジムなどの利用者がいると雇用が生まれる。

スポーツ保険に加入する人も多い。

そのため、スポーツする人が増えて消費も大きなものになっている。と。

みるスポーツについては、1950年代のテレビの普及が大きく影響しています。

どこでもリアルタイムで試合を見れることで、より熱を込めて応援できるようになり、誰かと一緒に感情を共有しやすくなりました。

それにより、見る人が増え、スポンサーの宣伝効果が高まり、ビジネス化が進んでいきました。

見る人が増えたことで、その周りのサービスも増えていきます。

先ほど挙げたように、交通費や入場料。宿泊費に応援グッズ。

海外の試合を見に行くなら、旅行代理店。

良い画質で見たいからと、テレビを購入する人もいるでしょう。

現地の飲食店は売り上げが伸び、雑誌や有料放送など情報そのものにお金を払う人も大勢います。

スポーツを見る人が増えたことで、宣伝効果が高まったので、

値段が高くても放送権が欲しいというところが増えてきました。

その料金は、どんどん上がっていき、1960年では120万円だったのが、2016年では28億円となっています。

スポーツ関連に払われるお金が増えたことで、仕事にする人も増えました。

そして仕事にする人が増えたことでサービスも充実し、さらにお金を払う人が増えました。

最近だと、フィットネスジムもそうですね。
それはスポーツに親しむ人が増え、スポーツの効果が広まったことで、利用者が増え、利用者が増えたことでいろんなタイプのフィットネスジムができて、各ジムがより良いサービスを追求していますね。

ちなみに、スポーツに関わる仕事は、ジム以外にもいろいろあります。

どんなものがあるか、書き出してみましょう。

ーーー

教科書149ページには、上記のものがのっています。

ボールやシューズ、ラケットなどのスポーツ用品製造。

新聞や雑誌、テレビでスポーツ関連の報道をするスポーツジャーナリスト。

選手に変わって契約の交渉などを行う、スポーツエージェント。

子どもから大人まで、スポーツをしたい人に場所や技術を提供するスポーツスクール。

体育館やスタジアムなど、スポーツ施設の建設。

スポーツイベントに参加するために旅行するスポーツツーリズムに関する仕事など。

本当にたくさんあります。

さらに現在。

グローバル化により、スポーツの経済的価値は一層高まっています。

大勢が海外まで見に行く、もしくは海外から見に来るとなれば、大きなお金が動きますからね。

また、スポーツ産業は日本の主要な産業の1つにもなっています。

スポーツに関わるお金が増えたことで、選手もコーチも関係者も、試合に勝つことで富谷名声を得られることになりました。

勝つことで得られる利益が大きくなってくると、増えてくるのが不正です。

ルールやモラルの欠如だったり、外部からいろんな圧力がかかったり。

東京オリンピックではスポンサー企業を選ぶときにオリンピック委員会の人が賄賂を受け取ったとして問題にもなりました。

スポーツ賭博が広がったことで、八百長などの問題も大きくなりました。

プロになるために、コーチの理不尽な要求にも我慢しなければならない状況が出てきたりもします。

なかでも注目したいのはドーピング。

ドーピングとは、人体にとって異常な物質を、競技力向上のために不正に利用すること。

軽いところでいうと、大事な試合で筋肉痛を抑えるために飲む風邪薬などの鎮痛剤。

他にも興奮剤や筋肉増強剤など。

簡単に能力を引き上げることができるので、ドーピングをする選手が後を絶ちません。

2018年の調査では、ロシアが144件で最多、イタリアが132件。

日本も8件ドーピング違反が見つかっています。(読売新聞記事より

このような状況に対し、大会運営側はドーピング検査を強化していますが、検査体制の強化に伴い、手口も巧妙化しています。

特にロシアは国家ぐるみでのドーピングが見つかっています。

最近だと、遺伝子ドーピングがされる日も近いと言われています。

自分なりの考えを書いてみよう。

もう少し深く考えるために、ドーピングが許可された世界を想像してみよう。

前の時間にもやりましたが、スポーツのもともとの意味は「遊び」。

ドーピングが広がったとしても、小学生が休み時間にサッカーや鬼ごっこをやめるとは思えません。

社会人がテニスで交流する文化がなくなるとも思えません。

ここでいう、スポーツが滅びるということはどういうことなのか。

書いてみてください。

「スポーツが滅びる」のではなく、「尊敬の対象とならないため、スポーツ経済圏が縮小する」のほうが近いかもしれない。

教科書ではスポーツの高潔さについても触れられています。

ドーピングや汚職、不正などで、高潔さが損なわれると書かれています。

実際、東京オリンピックでは、スポンサー契約を結びたい企業の幹部が、オリンピック委員の理事に賄賂を贈っており、高橋治之容疑者は1億4000万円受け取ったと言われています。

これにより、オリンピックの印象は悪くなりました。

でも、そもそも、スポーツって高潔なものなの?

どちらかというと、スポーツを高潔なものとして維持することで、教育効果を高めたり、経済的価値を高めることができるというほうが、近いかもしれない。

個人的には「日本の産業」の言葉に違和感。

車づくりなら、日本で作ったものを海外に提供して外貨を獲得しているから、まさしく「日本の産業」だと思える。

スポーツは、日本人向けに娯楽を提供して、日本人が消費するという傾向が強い。

もちろん、大谷翔平選手がスポーツで外貨を稼いだり、アシックスがスポーツ用品を作り外貨を稼ぐということもある。

しかし、労働人口に対してどれくらい日本に価値を蓄えられるかというと、「う~ん・・・」とは思ってしまいます。

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