座学で高校体育・授業案③ ~うつと脳と運動~

高校体育を座学でやらなくてはいけない!
でも面白い題材がない。
そんなときに参考になるように、自分の考えた授業案を紹介します。

今回はうつ病が起きたときの脳の変化と、運動がどう良い効果をもたらすか。

質問です。
みんなはうつ病って心の病気だと思いますか?

人によって考え方は違うと思いますが、今回はある患者の話を例に見ていきます。

「他の病気と変わらない」

この一言で気がラクになる人は多いといいます。

では、うつ病を発症すると身体がどう変化しているのか、一緒に見ていきたいと思います。

工場長と社長の板挟み。

新入社員は、両者の要求を必死に達成しようとした結果、長時間、過度のストレスにさらされてうつ病発症。

身体が異常をきたし、病院に通うことになりました。

この状態は、精神力でどうにもなりません。

なぜなら、身体が物理的に変化しているからです。

うつ状態は、脳の構造が変わっています。

脳には神経細胞のニューロンが約1000億個あります。

また、毎日新しいニューロンが作られています。

この新しいニューロンは、環境変化などの刺激を受けることで今までの記憶回路に組み込まれて記憶定着に役立ちます。

逆に刺激がないと、どことも結びつかず、消えていきます。

なので、「しっかり記憶している状態」とは、「ニューロンがたくさん結びついている状態」といえます。

ニューロンの先端にあるシナプス。

記憶が強くなると、ここにも変化が現れます。

情報を受け取る部分が増えます。

記憶にのこる情報は、恐怖などの強い感情と結びつくものか繰り返し思い出す情報です。

なぜなら脳が「生存に関わる」と考えるから。

なので嫌な思いをしたときは、その記憶がしっかりと刻まれるようになってます。

また、長時間ストレスを受けると、ストレスホルモンコルチゾールが分泌されて、ニューロンが小さくなります。

これにより、「生存に関係ない」と思える記憶が残りにくくなります。

つまり。

うつ病を発症した新入社員はこんな状況でした。

仕事のストレスで、不快な感情が湧き、しっかり記憶に残る。
それを休日に思い出して記憶が強化される。
同時にストレスも感じ、記憶強化に一役買う。

長期間のストレスによりコルチゾール分泌。
ニューロンが委縮して、趣味などの記憶が弱くなる。
一番強い記憶である仕事の記憶ばかり思い出す。
ストレスを感じる。

こうして、新入社員はストレスの負のループに陥りました。

今話したことをまとめると、こんな感じです。

また、脳以外にも身体が変化しています。

ここまで見てみると、最初の医者が話したことが分かると思います。

「身体が物理的に変化しているのだから、精神的なものではない。だから他の病気と変わらない」と。

で、「身体の不具合が心に大きな影響を与えているので、まずは薬で症状を抑えよう」と。

ちなみに、体育の先生としては、運動も取り入れて欲しいです。

実は運動は薬よりも効果的であるという研究結果がいくつもあるので、「なぜ運動が良いのか」を紹介していきます。

以前やった闘争逃走反応の話。

人間は恐怖を感じたときに逃げたり戦ったりして解決します。

獲物を追いかけて報酬をイメージできると喜びを感じます。

どちらも運動が関係していて、何万年も前から遺伝子にこのことが刻まれています。

なので、運動するとストレスに対抗するホルモンが出たり、喜びを味わうホルモンが出ます。

運動によって増加する物質はたくさんあります。

今回は6つピックアップして紹介します。

まずはエンドカンナビノイド。

「やる気を出せ」と言われたら何するべきか。

精神力の問題ではなく、軽くでも良いからまずは動くことが大事。

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