座学で高校体育・授業案② ~ストレスと闘争反応~

高校体育を座学でやらなくてはいけない!
でも面白い題材がない。
そんなときに参考になるように、自分の考えた授業案を紹介します。

今回は、ストレスに対する身体の反応と、運動によるホルモン分泌でストレス耐性をアップできる話です。。

今回の授業は、ストレスを受けたときに身体がどう変化するか?

それにどう対処するか。

そのあたりを学んでいきます。

みんなはどんな時にストレスを感じますか?

できるだけ具体的に書き出してみてください。

多くの人が、不安になるとか心配するとかイライラするというような出来事を書いてくれたと思います。

実はストレスっていってもいろいろあるんだけど、今回は皆が書いてくれた心理的ストレスについて見ていこうと思います。

ここでもう一つ質問です。

もし、山道を歩いていてクマに襲われたらどうする?

逃げる?戦う?それとも死んだふりをする?

そのままでは食べられてしまうから、なんとか逃げたり戦ったりしないといけないよね!

そのためには、身体が戦闘モードに変わらないといけない。

だから、「恐怖」というストレスを感じると、身体はこう変化します。

ここからは、ちょっと難しい話なので、なんとなくで聞いててください。

恐怖を感じると、脳から指令が出て交感神経が高まり、ノルアドレナリンとアドレナリンが分泌されます。

この状態になると、身体は一気に戦闘モード。

瞳孔を開いて相手の動きを見逃さないようにするし、

気管を広げて酸素を取り込み、血流も増やして、たくさんのエネルギーを生み出す。

消化にエネルギーを使ってる場合じゃないから胃腸の働きは抑えられるし、

皮膚や内臓の血流を減らして、筋肉にたくさん血が流れるようにする。

これで、クマと戦えるし、全力で逃げられる。

実際に勝てるかは別だけど。

つまり・・・

クマに襲われたときの人間の反応は、戦って問題を解決するか、逃げて安全を確保するか。

そのために、身体が変化する。

これは、闘争逃走反応と言われ、ほかのストレスを受けても同様に変化する。

闘争逃走反応は恐怖や不安を感じたときに身体が戦闘モードに変化すること。

生存に必要な興奮のさいにも起きるものです。

もう一つ。

ストレスを感じた時に起きる変化があります。

それが、HPA系と呼ばれる「視床下部→脳下垂体→副腎皮質」の流れでコルチゾールが分泌される反応。

長時間、ストレスにさらされると、その分エネルギーがたくさん必要になります。

そのためにコルチゾールが分泌され働きます。

ストレスを感じると、10~20分後にはコルチゾールが2~3倍になります。

コルチゾールの働きは主に3つ。

エネルギーを作り、炎症を抑え、食欲をアップさせることです。

また、コルチゾールは多すぎるとニューロン同士の結合を蝕んで、記憶を破壊するという性質もあります。

なので、濃度が高くなると、脳がそれを察知してコルチゾール分泌を抑制する機能も持っています。

だだし。

過剰なストレスがかかると、コルチゾール分泌を抑制できなくなります。

それにより問題が起きます。

ここで問題です。

長時間のストレスにさらされてるにもかかわらず、闘争も逃走もできなかったらどうなりますか?

今までの話をもとに、書き出してみてください。

・・・

現代社会では、ストレスに対して闘争も逃走もできないケースが結構多い。

それを放置してると、身体はこう変化しています。

1つ目は自律神経系の乱れ。

常に戦闘モードだから、身体は修復する時間を取れません。

内臓への血流も減り、身体の修復ができないまま、毎日を過ごすことになります。

2つ目は、コルチゾールの過剰分泌による異常。

食欲アップで太る、免疫が弱くなり病気になる、ニューロンが死んで記憶回路ができにくくなる。

実は、新たな記憶を作れないのが結構ヤバイ。

ストレスの元凶ばかり考えるようになり、新しいことに目がいかなくなってしまう。

で、負のループが始まる。

この話は長くなるので、次回話すが、下手するとストレスがストレスを生む負のループに陥ることだけ覚えておいてほしい。

長期間のストレスがヤバいことは分かったと思う。

なので、みんなには気をつけて生活してほしい。

でも、どうやって?

思い出してほしい。

ストレスに対して何をすべきか。

何万年もの間、人間の身体はストレスに対して、闘争か逃走かを選び生き残ってきた。

だから、まずは戦うか逃げるかして安全安心な状態を確保するように模索してほしい。

たとえば・・・

入試前に不安でずっとストレスを抱えていた。

戦うなら、勉強のみに集中すること。

「これでもか!」というくらいやると、意外とストレスは減る。

あとは、全力で逃げること。

試験を受けるのをやめて、別の道を探す。

逃げた先がどうなってるか分からないから、個人的には戦うほうを勧めたいが、

身体の反応的にはこれも普通のこと。

そうはいっても、現代社会で闘争も逃走もできないことは結構あると思う。

そんなときは、意図的にストレス発散しないといけない。

そこで、ストレス発散方法を調べて書きだしてみよう。(グループワークも可)

自分ができそうなものには色をつけておくと、より良いです。

先生も調べたところ、こんな方法がありました。

ちなみに・・・

先生のオススメはコレです。

バスケやサッカーなど、息の上がる運動をすることです。

思い出してみてください。

ストレスに対して、人間は闘争するか逃走して生き残ってきた。

なので、運動することで身体の防衛システムが働きます。

そのうちの一つが、心房性ナトリウム利尿ペプチド。

心房性ナトリウム利尿ペプチドには鎮静効果があり、

脳を落ち着けてコルチゾール分泌を調整する働きがあります。

しかも、交感神経の働きを抑えて不安も軽減します。

ただ、心房性ナトリウム利尿ペプチドを増やすには、運動強度中程度以上のものが必要になります。

これは、息が上がるくらいの運動です。

なので、ストレスに対抗するためにも運動を取り入れるようにしましょう。

ちなみに、運動も脳にとっては同じストレスなので、一時的にコルチゾールを増やします。

なので、過度のストレスがかかってるときに負担が大きい運動をすると、身体が悲鳴を上げます。

その場合は、1日1回の簡単な運動から始めるようにしましょう。

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